徐々に広まる伊賀牛の魅力
肉の横綱たる「伊賀牛」の名称は、「黒毛和種の未経産牛のうち、最終肥育地として伊賀地域で12ヶ月以上飼われた肉牛」のみに与えられるブランド。その出荷頭数は松阪牛の1/6程度であり、全国の市場にはなかなか出回らないことから、多くの方にとって伊賀牛は「未知の食材」であり続けています。
伊賀牛は古くから地元住民の「特別な食卓」を飾り、また2016年の伊勢志摩サミットでは地元の特産品として各国首脳に振る舞われるなど、折に触れて確かな評価を得てきました。ごく限られた人だけが知る絶品の味わいに、いつしかついた呼び名が「幻の牛肉」だったのです。
閉じた流通経路ゆえに、これまで「A5」などの食肉格付を受ける機会も少なかった伊賀牛ですが、2019年に地元の解体施設が閉鎖されて以降、京都や四日市の施設で格付の対象に。それ以来、大道精肉店が仕入れる伊賀牛は継続的にA5ランクを獲得し、それ以外の評価は年に一度あるかどうか、という高い品質水準を保っています。
まじりけのない、透き通った旨み
和牛の魅力は、なんと言っても口に入れた瞬間の幸福感。とろけるような口どけと、芳醇な甘みは、食卓を笑顔で満たしてくれます。
こうした和牛のおいしさを支えているのが、きめの細かな脂身、すなわち「サシ」にほかなりません。
伊賀牛の脂身は、ブランド牛ならではの「まろやかな口どけ」や「ゆたかな香りとコク」を感じさせるとともに、意外なほどの「さっぱり感」を大きな特徴としています。
もたれを感じさせず、その風味を長く楽しめる伊賀牛の脂身は、食事の最後まで「食べる幸せ」を堪能させてくれるはず。
寒暖差の大きな伊賀盆地で、ゆたかな水源に囲まれて育った伊賀牛の、まじりけのないすっきりとした旨みをぜひご賞味ください。
信頼の「一頭買い」
伊賀牛の仕入れは、「肥育農家からの一頭買い」という大変珍しい形で行われています。つまり、一般的な仕入れ業者が行っているように、市場で切開面を評価して競り落とす形式ではないのです。
そのため「一頭買い」でお肉の品質を担保するには、肥育農家さんとのネットワークや信頼関係が大切になります。地域での長い付き合いのなかで、「この人から買えば間違いない」と思える仕入れ先が、精肉店にとっての生命線なのです。
当店がもっぱらの仕入れ先としている「森辻牧場」さんは、その枝肉が2018年に京都市長賞を受賞するなど、高い評価を獲得しています。エサの配合や量、肥育環境にこだわり抜いた貴重な牛肉を、私たちが大切に精肉し、みなさまのもとへお届けします。